同じ事を何度も言うしつこい親は認知症?イライラしないために背景と対策を徹底解説

あんこ

義理の母が同じ事を何度もしつこく言ってきて、うんざりしちゃう。認知症のはじまりなのかなぁ?

この記事では、介護業界で20年従事し延べ5,000人以上の相談支援を行ってきた僕が、認知症の方がしつこいと感じるほど同じ事を何度も言ってしまう原因と、解決策をわかりやすく解説します。

この記事を読むと分かること

親が同じ事を何度もしつこく言う理由や認知症の背景が理解でき、ストレスを減らす具体的な行動ができるようになります。

親や高齢者が同じ事を何度も言うことで「しつこい。またか…」と感じることはありませんか?

それが認知症による行動かもしれないと分かっていても、しつこい繰り返しにイライラしてしまうこともあるでしょう。

しかし、その話には本人の大切な思い出や感情が隠されているかもしれません。

この記事では、「同じ事を何度も言う」背景にある認知症の影響や親の気持ちを解説していきます。

よーかん

ストレスを減らしながら親子関係をポジティブに捉え直す方法もご紹介しますね!

この記事を書いた人【よーかん】
  • 主任ケアマネ(ケアマネ歴13年)
  • 延べ相談支援者数5000人以上
  • 介護業界で20年従事
  • 在宅・施設両方の勤務と管理職を経験
  • 僕のプロフィールページはコチラ
こんにちは!
この記事の目次

親が同じ話を繰り返す原因を知ることの重要性

親が何度も同じ話を繰り返すとき、「どうしてこんなにしつこく何度も同じことを言うのだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?

また、ついイライラしてしまい自己嫌悪に陥ることもあるでしょう。

しつこいと感じるほどの、同じ話の繰り返しには、認知症に特有の原因や背景があります。

まずは、同じ話を繰り返してしまう理由3つをお伝えしますね。

理由①:認知症の記憶障害が繰り返し話の主な原因

親が同じ話を繰り返す主な理由は、認知症に伴う「記憶障害」が原因です。

認知症では、新しい記憶が定着しづらくなるため、一度話したことをすぐに忘れてしまいます。

その結果、本人にとっては毎回が「初めて話すこと」となり、同じ内容を何度も口にするのです。

アルツハイマー型認知症では、短期記憶をつかさどる脳の「海馬」が萎縮するため、新しい出来事が記憶に残りづらくなります。これが繰り返し話す行動の根本的な要因です。

よーかん

驚くほど直前のことを忘れてしまうんです!
「さっき言ったよ」と指摘しても本人は覚えていません。

理由②:不安や混乱が行動に影響する

親が繰り返し話す背景には、不安や混乱といった心理状態が大きく影響しています。

認知症の方は、物忘れによって「何か大切なことを忘れているのではないか」と不安に感じ、繰り返し話す傾向があります。

「今日は何日だっけ?」と何度も尋ねる場合、日時そのものよりも「自分が忘れてしまう」という恐怖が隠れていることも多いです。

よーかん

自分たちが不安だらけの日常を送っていたらどうなるでしょうか?
気も休まりませんよね。そんな想いを常に抱えている可能性があるんですよ。

理由③:繰り返し話には「安心感を求める意図」がある

繰り返し話す行動には、親が安心感を得たいという意図が隠れています。

話をすることで「自分の存在を認識してほしい」、「家族に受け入れてほしい」という気持ちを表現していることもあるでしょう。

このような行動は、特に認知症の初期段階で強く現れることがあります。

繰り返し話す行動は、親が「家族とのつながり」を確認する手段でもあるといわれています。

よーかん

誰かに話しを聴いてもらえると安心できたり、心が軽くなったりという経験はみなさんもありますよね。
認知症の方も同じです。

イライラを減らす!冷静に向き合うための心構え

「親が繰り返し話すのは分かっているけれど、しつこいし、ついイライラしてしまう…」という気持ちを抱える方は少なくありません

しかし、感情に流されてしまうと、親子関係が悪化したり、自己嫌悪に陥る原因にもなるでしょう。

親の繰り返し話に冷静に向き合うための心構えを3つお伝えします。

心構え①:親の繰り返し話に悪意はないと理解する

親の繰り返し話にイライラしないためには、「悪意がない」という事実を理解することが第一歩です。

繰り返し話す行動は、認知症による記憶障害や混乱からくるものであり、親自身にとっても無意識の行動です。

「わざと繰り返しているわけではない」と受け止めることで、感情的になるのを防ぎやすくなるでしょう。

よーかん

本人は忘れてしまうだけで悪意は全くないんです。認知症の症状として理解してあげましょう。

心構え②:イライラする自分を責めない

親にイライラしてしまう自分を責めずに、まずは感情を受けいれることが大切です。

介護をする中でイライラを感じるのは自然なこと。感情を否定するとさらにストレスが溜まり、負担が大きくなる可能性があります。

介護者自身の心の健康を守るために「感情のセルフケア」が重要です。素直に自分の感情を受けいれましょう。

よーかん

僕ら介護のプロでも認知症の方への対応でイライラを感じることはあります。人として当たり前のことなので、自分を責めないようにしましょうね。

心構え③:感情をコントロールするための具体的な方法

イライラを減らすには、深呼吸や簡単な環境調整など、感情をコントロールする習慣を取り入れることが効果的です。

感情はすぐには制御できないため、少しずつ冷静さを取り戻す方法を見つけることが重要です。

親が話している間に、軽く深呼吸をする、少しその場を離れるなど、簡単な対策を実践するだけでも違いますよ。

よーかん

しんどいなって感じたときには、無理に向き合わずに一度離れましょう。その方がお互いにとって気楽です。

親とのやりとりが楽になる具体的な対応策

同じ話を何度も繰り返されると、どう対処すればいいのか分からない…。

そんな悩みを抱える方も多いでしょう。

でも、ちょっとした工夫で、親とのやりとりをもっと楽に、負担を軽減することができます。

今日から試せる実践的な対応策を3つ解説しますね。

対応策①:オウム返しで安心感を与える

親が同じ話を繰り返すときは、オウム返しで「話を聞いている」という安心感を与えましょう。

繰り返し話す親は、「話を聞いてほしい」「自分を受け入れてほしい」という気持ちが強い場合があります。

そのため、本人が言った言葉をそのまま繰り返すだけで安心感を与えることができます。

よーかん

介護の現場でも、オウム返しは認知症の方とのコミュニケーションで大いに役立ちますよ。

対応策②:話題を転換する工夫を取り入れる

同じ話が続いたときは、話題を転換して注意をそらしましょう。

認知症の方は、新しい話題に興味を持つと、その瞬間の記憶に集中しやすくなり、繰り返し話す行動が減ることがあります。

「そういえば昔、〇〇に行ったよね?」といった具体的なエピソードを提示したりすると、本人の意識をより自然に別の方向に向けることができます。

よーかん

僕らは突然話が切り替わると違和感がありますが、認知症の方は案外自然に別の話題を受けいれてくれますよ。

対応策③:親が不安を感じない環境を整える

親が繰り返し話す頻度を減らすには、不安を感じにくい環境を整えることが効果的です。

認知症の方は、不安や混乱が繰り返し話す原因の一つです。安心できる環境を作ることで、その行動を抑えられる可能性があります。

カレンダーや時計を見やすい場所に置くことで、日付や時間の混乱を減らせます。

また、本人の好きな音楽や写真を日常生活に取り入れることで、リラックスした状態を作りやすくなるでしょう。

よーかん

介護の現場でも本人の馴染のあるものや家具をそばに置いたりして、穏やかでいられる環境づくりを心がけています。こういう配慮は認知症ケアでとっても大切!

「認知症かな?」と思ったら取るべき行動

もしかして親が認知症かもと感じたとき、最初に何をすればよいのか分からないことが多いでしょう。

早めの行動が親の生活の質を守るためには欠かせません。

認知症の可能性を感じた際に取るべき具体的な行動と、その理由について詳しくお伝えするので、ぜひ覚えてくださいね。

行動①:認知症は早期発見がとても重要

認知症は早期発見が重要であり、進行を遅らせるための治療やケアが可能になります。

認知症の症状は進行性であるため、早い段階で適切な対策を取ることで、本人の生活の質を高め、家族の負担を軽減できます。

初期段階では薬物療法や生活習慣の改善が効果を発揮しやすいです。

アルツハイマー型認知症では、薬物療法により進行を抑える効果が期待できるとされていて、早めに診断を受けることで、医療や介護の計画を立てやすくなります​​。

よーかん

薬だけでなく、周りの環境やいろいろな活動などの「非薬物療法」も合わせて行うことで、より認知機能の維持が期待できるでしょう。

行動②:専門家に相談する方法

「認知症かな?」と思ったら、まずは専門家に相談しましょう。

自分で判断しきれない場合、医師や地域の相談窓口に相談することで、正確な診断と適切な支援が受けられます。

認知症は他の病気と症状が似ている場合もあるため、専門的な診断が必要です。

かかりつけ医や「もの忘れ外来」などの専門医療機関では、問診や認知機能検査を行い、原因を特定します。

また、地域包括支援センターや自治体の窓口では、介護サービスの情報提供や相談を受け付けていますよ。

よーかん

まずはかかりつけの医師に相談してみましょう。医師にかかっていない場合は、最寄りの地域包括支援センターへ相談してみると良いです!

行動③:家族で話し合い、協力体制を作る

認知症の可能性がある場合は、家族で話し合い、協力体制を整えることが大切です。

介護は一人で抱え込むと大きな負担となります。無理なくケアを続ける環境を作るために、家族全体で協力し、役割分担や今後の方針を話し合いましょう。

介護者の孤立や過度な負担を防ぐために、家族間のコミュニケーションは必須です!

よーかん

長女やお嫁さんが主介護者を担うことが多いです。夫や男性陣にも協力してもらいましょう!
難しい場合は僕らケアマネにも相談してください。一緒に考えます!

介護者の負担を軽減するために知っておきたいリソース

認知症の親をケアする中で、「すべてを自分で抱え込むのは限界…」と感じることもあるでしょう。

介護者の負担を軽減するためのリソースはたくさんあります。

デイサービスやショートステイなどの介護サービス、地域の相談窓口など、具体的な支援の方法について解説します。

方法①:デイサービスやショートステイを活用する

デイサービスやショートステイを活用することで、介護者の負担を軽減しながら、本人の生活を充実させることができます。

介護保険サービスを利用すると、親は専門的なケアを受けるだけでなく、社会とのつながりを維持することができます。

その間に介護者は一時的な休息を取ることができ、心身のリフレッシュに役立つでしょう。

地域には認知症対応型のデイサービスやショートステイを提供しているところがあり、認知症の方が楽しめるプログラムや交流の場を提供しています。利用者の満足度が高いことも特徴です​​。

よーかん

サービスごとの特徴や料金などをケアマネから聴いて、本人に合うところを選ぶようにしましょう。

方法②:地域の相談窓口や専門機関を利用する

地域包括支援センターや介護支援専門員(ケアマネジャー)に相談することで、適切な支援や制度を活用できます。

本人に合った介護サービスの提案や、介護保険の申請手続きについてのサポートを受けられます。また、地域ごとの独自の支援制度やサービスについても教えてもらえますよ。

介護保険のサービスを利用する際には、僕らケアマネがアドバイスします。認知症の進行度や親の生活状況に応じて、適切なプランを作成してもらいましょう。

よーかん

自分が話して安心できる、信頼できると感じるケアマネを選ぶようにしてくださいね。

方法③:介護者自身のケアを優先することの重要性

介護を続けるためには、介護者自身が心身の健康を保つことが何より重要です。

介護は長期間にわたることが多く、介護者が疲弊してしまうと、結果的に親のケアや生活にも大きな影響を与えます。

定期的に自分のための時間を作り、負担を分散することが必要でしょう。

厚生労働省も「介護者のケア」を推奨しており、リフレッシュのための制度利用や、「認知症の家族会」などの介護者向けのサポートグループ参加を呼びかけています。

よーかん

僕は介護者の心身の健康が一番大切だと思っています!
介護者が元気で余裕がないと、本人の生活も成り立ちません。

繰り返し話を「家族の思い出」としてポジティブに捉える

何度も同じ話をされてうんざりすると感じることはあるかもしれません。しかし、親が繰り返す話には、大切な思い出や親自身の感情が込められている場合もあります。

繰り返し話を「家族の思い出」としてポジティブに捉え直してみましょう。

①:繰り返し話に隠された親の気持ちを読み解く

親が繰り返す話には、そのときの感情や伝えたい思いが隠されていることがあります。

親が何度も話す内容は、特に印象深かった出来事や、大切に思っている記憶である場合が多いです。それを受け止めることで、親の心に寄り添うこともできます。

たとえば、昔の旅行の話を繰り返す場合、その旅行が親にとって特別な時間だった可能性があり、よくよく聴くと、本人が安心して会話を楽しむこともできるでしょう。

よーかん

誰にでも忘れがたい大切な思い出ってありますよね。

②:親の話を記録して本人史にする

親の繰り返し話を記録し、本人の歴史として残すことで、話を受け流さずにポジティブに活用できます。

同じ話を繰り返し聴くことが、親の記憶を記録する良い機会になると考えてみましょう。

また、記録を家族で共有することで、親の人生を振り返る大切な時間を持つことができます。

よーかん

介護の現場でも、本人史に基づいた個別ケアを行っています。本人らしさや価値観を知ることは、僕ら介護職にとっても大切なことです。

③:話を通じて親の新しい一面を見つける

繰り返し話をきっかけに、親の知らなかった一面や新たな価値観を発見することもできるでしょう。

親が繰り返す話を注意深く聴いててみると、これまで知らなかったエピソードや思いが込められていることがあります。話の中から新しい視点を見つけると、親との会話がより深いものになります。

たとえば、「若い頃に頑張った仕事の話」や「昔の夢」を繰り返す場合、それが本人にとって誇りであったり、今でも大切にしている想いであることが多いです。

よーかん

このようなエピソードを家族や介護関係者で共有することで、本人に寄り添ったケアが受けられますよ。

【Q&A】よくある質問とその回答

ここでは、親や高齢者から同じ事を何度もしつこく言われてしまい、認知症が疑われる場合のよくある質問にお答えしますね。

親が繰り返し話をするのは本当に認知症が原因ですか?

親が繰り返し話をする原因が必ずしも認知症であるとは限りません。加齢による物忘れや一時的なストレスが原因で起きる場合もあります。ただし、繰り返し話す頻度が高く、記憶の混乱や見当識障害(日時や場所の混乱)が見られる場合は、認知症の可能性を疑い、専門家に相談することをおすすめします。

親が繰り返し話す内容にどう反応すればいいですか?

同じ話を繰り返されたときには、初めて聞くかのように受け答えをしましょう。親は「聞いてほしい」という気持ちが強いので、話を否定せず、「そうなんだね」と共感を示すだけでも安心感を与えられます。反応の仕方が親の不安を軽減する鍵になります。

親が同じ話をすることでストレスを感じる自分が嫌になります。

その感情を抱くのは決して悪いことではありません。介護者も人間ですから、感情が湧くのは自然なことです。大事なのは、その感情に気づき、それを解消するための方法を見つけることです。自分を責めるのではなく、休息やリフレッシュを優先してください。

認知症かどうかを確認するためには何をすればいいですか?

まずはかかりつけ医や「もの忘れ外来」に相談することをおすすめします。問診や簡単な記憶テストを通じて、認知症の有無や進行度を診断してもらえます。専門家の診断が、次のステップを考える上での基盤となります。

親の介護を一人で抱え込むのがつらいです。どうすればいいですか?

介護は一人で抱え込む必要はありません。家族間での役割分担や、地域のサービスを活用することで負担を軽減できます。また、ケアマネジャーに相談して計画を立てることで、具体的な支援を受けやすくなります。一歩踏み出してみてください。

まとめ:同じ事を何度も言うしつこい親は認知症?イライラしないために背景と対策を徹底解説

この記事の大事なポイントをまとめます。

  • 親が同じ話を繰り返すのは、記憶障害や不安が原因であり、悪意がないことを理解することで冷静に向き合いやすくなる
  • イライラを感じても自分を責めず、適切な対応法や休息を取り入れることでストレスを軽減することが大切
  • オウム返しや話題転換などの具体的な対応策を活用することで、親とのやりとりがスムーズになり負担が減ること
  • 「認知症かな?」と感じたら、早期に専門家や地域の支援窓口に相談し、適切なサポートを受ける準備を進めましょう
  • 親の視点に立ち、繰り返し話に込められた不安や思いを理解することで、親子関係をより良いものにできる

親や高齢者が同じ事を何度も言う行動には、認知症の特性や本人自身の気持ちが隠されています。

それを理解し、ポジティブに向き合うことで、親子の関係をより良いものに変えることができるでしょう。

あんこ

認知症のことや本人の気持ちをまずは知ることが大事なんだね。

よーかん

本人の状態に合わせて環境を整えつつ、介護者自身の心身の健康を守れるようにしていきましょうね!

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