孫穎莎の代表辞退はデマ！WTTファイナルズ香港出場が確定｜引退説の真相と10月欠場の理由

ここ数日、SNSやネットニュースのコメント欄で孫穎莎（ソンエイサ）選手の進退に関する不穏な噂を目にして、心臓が止まる思いをした方も多いのではないでしょうか。

「中国のエースであり、世界ランキング1位に君臨する彼女が代表を辞退するらしい」 そんな情報が流れてきたら、仕事も手につかなくなって当然です。ましてや、彼女のプレーに魅了されてきたファンであれば尚更でしょう。

でも、安心してください。その噂は完全に誤りです。

彼女はまだラケットを置いていませんし、中国代表のユニフォームも脱いでいません。

この記事では、2025年12月9日時点の最新情報に基づき、なぜそのようなデマが流れたのか、そして彼女が今どこで何をしているのかを正確にお伝えします。

【結論】孫穎莎は代表辞退しない！昨日発表の「WTTファイナルズ」出場が証明

12月8日ドロー発表！初戦は王芸迪との激突へ

孫穎莎選手が引退するという噂に対する最も強力な反証、それは昨日（12月8日）に発表された「WTTファイナルズ香港2025」の公式ドローそのものです。

そこには、第1シードとして彼女の名前がしっかりと刻まれていました。

もし代表を辞退しているのであれば、この年間王者を決める最重要大会にエントリーされることは100%あり得ません。ITTF（国際卓球連盟）やWTTの規定上、引退や代表離脱を表明した選手がドローに含まれることはないからです。

さらに、初戦の対戦相手も決まっています。相手は同じ中国代表のチームメイトであり、強力なライバルでもある王芸迪（ワンイーディ）選手です。

初戦から「同士討ち」となるこのカードは、今大会屈指の好カードとして注目されています。彼女は今、この厳しい初戦を勝ち抜くために、香港の地で最終調整を行っている真っ最中なのです。

「辞退」の噂は、2ヶ月前の「モンペリエ欠場」の誤解

では、なぜ今回のような「代表辞退」という言葉が独り歩きしてしまったのでしょうか。

その原因は、情報の「タイムラグ」と「誤認」にあります。

実は彼女は、約2ヶ月前の2025年10月に開催された「WTTチャンピオンズ・モンペリエ」などの大会を欠場しています。当時はパリ五輪からの過酷な連戦による疲労蓄積と、腕の筋肉への違和感があり、コーチ陣と相談の上で大事をとっての「エントリー回避（Withdrawal）」でした。

この「過去の大会辞退」というニュースが、なぜか今頃になってSNSで再拡散され、見出しの「辞退」という文字だけが切り取られてしまったのです。それが翻訳や伝言ゲームの過程で尾ひれをつけ、「（大会を）辞退」が「（代表を）辞退」という話にすり替わってしまったのが真相でしょう。

ネット上の情報は時として、過去と現在が混ざり合って拡散されることがあるため注意が必要です。

なぜ「引退説」が消えない？中国卓球界を覆う「世代交代」の影

ファンを不安にさせた、馬龍・樊振東らの第一線離脱

今回の噂がこれほどまでに信憑性を持って拡散されてしまった背景には、単なる誤解だけではない、今の中国卓球界特有の事情があります。

それは、2025年という年が中国卓球界にとって「激動の世代交代」の年だったからです。

今年初頭、長年チームを支えてきたレジェンドである馬龍選手や、パリ五輪金メダリストの樊振東選手、陳夢選手らが相次いで世界ランキングから名前を消し、国際大会の第一線から事実上の「離脱」状態となりました。

彼らは公式に「引退」を宣言したわけではありませんが、若手に道を譲る形で表舞台から姿を消しています。

ファンたちは、見慣れたスター選手たちが次々と去っていく喪失感を痛感しています。「あの絶対的な中国の壁が崩れつつある」という不安の中で、唯一現役バリバリの絶対女王として残っている孫穎莎選手までがいなくなってしまうのではないか。

「超過密スケジュール」への批判と、ファンの過保護な愛

また、彼女が抱えるスケジュールの過酷さも、ファンの不安を煽る大きな要因になっています。

パリ五輪以降、休む間もなくマカオ、北京と世界各地を転戦させられる姿を見て、多くのファンがSNS（特にWeiboやX）で運営批判を展開しました。

「馬琳コーチは彼女を使い潰す気か？」 「これ以上酷使したら、彼女まで怪我で壊れてしまう」

こうした悲痛な叫びが、SNS上では常に飛び交っています。実際に彼女は10月のアジア選手権で腕の痛みを訴え、試合中にメディカルタイムアウトを取る場面もありました。そうした映像が切り抜かれ、「もう限界なのではないか」という憶測を呼びました。

ファンは彼女を愛するあまり、少しの休養情報でも「ついに恐れていたことが起きた」と過剰に反応してしまうほど過敏になっています。

2026年に向けて。絶対エースが語る「これからの覚悟」

世界卓球ドーハ金メダリストとしてのプライド

孫穎莎選手はまだ25歳です。卓球選手として、技術的にも精神的にも最も脂が乗ってくる時期を迎えています。

今回のWTTファイナルズ出場は、彼女が2026年以降も中国代表の絶対エースとして君臨し続けるという強い意思表示に他なりません。

今年開催された世界卓球選手権ドーハ大会での金メダル獲得は、彼女のキャリアの中でも重要な意味を持っていました。先輩たちが不在の中で勝ち取ったそのタイトルは、彼女が名実ともに「中国の新時代」を背負う存在であることを証明しました。

彼女は以前のインタビューで、自身のキャリアについて「目の前の勝利だけでなく、卓球という競技をどこまで極められるか挑戦したい」と語っています。この探求心がある限り、彼女が志半ばでラケットを置くことは考えにくいでしょう。

次世代リーダーとしての自覚と進化

かつては「シャシャ（莎莎）」という愛称で呼ばれる天真爛漫な末っ子キャラでしたが、今の彼女は違います。

チーム内では若手選手の台頭も著しいですが、大舞台での経験値や、苦しい場面に追い込まれてからの修正能力において、彼女の右に出る者はいません。

これからはプレーで引っ張るだけでなく、精神的支柱としてチームをまとめるリーダーの役割も担っていくことになります。

最近の彼女のプレーを見ていると、以前のようなフォアハンドの強打でねじ伏せるスタイルから、より緩急やコース取りを使った「大人の卓球」へと進化していることが分かります。これは怪我のリスクを管理しながら、長く現役を続けるためのモデルチェンジとも受け取れます。

彼女自身が、長くコートに立ち続けるための準備を着実に進めている何よりの証拠です。明日のWTTファイナルズ初戦、彼女はきっと私たちが心配していたことなど吹き飛ばすような、気迫あふれるプレーを見せてくれるはずです。

まとめ：孫穎莎の代表辞退はデマ！

今回の「孫穎莎選手、代表辞退」という噂は、過去の大会欠場情報とファンの不安が結びついて生まれた完全なデマでした。

2025年12月9日現在、彼女は元気に香港にいます。そして明日、今年を締めくくる大一番、WTTファイナルズのコートに立ちます。

SNSのタイムラインには、いまだに不安を煽るような情報が流れてくるかもしれません。しかし、事実はひとつです。