老人や親が「あちこち痛い」とうるさい！原因と正しい対策教えます

高齢者や親が繰り返しがちな身体のあちこちの痛みの訴えは、対応に困るし、イライラしてしまうこともありますよね。

うるさいと感じて、ついキツいことを言ってしまい、自己嫌悪に陥ってしまうことも……。

高齢者や親が痛みを訴える理由や原因を知らず、そのまま放っておくと親子関係が悪化するかもしれません。

そこで、今回は老人や親が「あちこち痛い」とうるさい原因と正しい対策について紹介します！

高齢者が「あちこち痛い」と訴える3つの主な原因

高齢者や親が「痛い、痛い」と繰り返し訴えるのは、本人にとっても周囲にとっても負担になるもの。

しかし、痛みの原因は一つではなく、身体的な問題だけでなく心理的な要素も関係していることがあります。

適切な対応ができるよう、原因3つを見ていきましょう。

• 加齢による体の変化
• 不安や孤独感による訴え
• 認知症や精神的要因

原因①：加齢による体の変化

年を重ねると、体のあちこちに違和感が出てきます。

関節や筋肉の衰え、血流の低下、神経の変化などが影響し、「痛い」と感じることが増えるのです。

とくに、変形性膝関節症や腰痛などの慢性的な症状は、高齢者にとって身近な悩み。

また、加齢によって痛みを感じやすくなるケースもあります。

たとえば、ちょっとした刺激でも過敏に反応する「神経過敏」の状態になることがあるのです。

原因②：不安や孤独感による訴え

「痛い」と言うことで、誰かに気にかけてほしいのかもしれません。

高齢になると、家族や友人との会話が減ったり、社会とのつながりが希薄になったりすることがあります。

孤独感が強まり、「痛みを訴えることで誰かに話を聞いてもらいたい」という心理が働くことがあるのです。

また、不安が強いと、ちょっとした違和感でも大きな痛みとして認識しやすくなります。

原因③：認知症や精神的要因

認知症の影響で、実際には痛みがないのに「痛い」と感じることがあります。

認知症が進行すると、身体感覚が変化し、痛みの感覚が過敏になったり、逆に鈍感になったりすることがあります。

また、痛みの場所や程度を正しく伝えられず、「とにかく痛い」と繰り返し訴えるケースもあります。

心筋梗塞を起こしているのに「お腹が痛い」と言うケースもあり、高齢者の場合は異変が起きている部位がわかりづらいということが僕の経験からも実感しています。

さらに、うつ病やストレスなどの精神的な要因が関係している場合もあります。

とくに、過去の痛みの記憶が残っていて、それを繰り返し思い出してしまうこともあるのです。

お父さんやお母さんが何度も繰り返し痛みの訴えや同じ話をしてイライラしてしまうという方は、こちらの記事で詳しく解説しているのでご覧ください。

痛みがないのに「痛い」と言う心理的な理由3つ

実際には痛みがないのに、「痛い」と繰り返す高齢者もいます。これには、心理的な要因が関係していることが多いのです。

以下のような3つの理由が考えられます。見ていきましょう。

• 注意を引きたい気持ち
• 昔の痛みの記憶が影響
• 生活の不安やストレス

理由①：注意を引きたい気持ち

「痛い」と言うことで、家族の関心を引こうとしているのかもしれません。

とくに、一人暮らしや日中に家族と過ごす時間が少ない高齢者に多い傾向があります。

「痛い」と訴えることで、誰かが話を聞いてくれる、気にかけてくれるという安心感を求めている可能性があるのです。

この場合、大切なのは単に「痛くないでしょ？」と否定するのではなく、気持ちに寄り添って話を聞いてあげることです。

それだけで、不安が軽減されることがあります。

理由②：昔の痛みの記憶が影響

過去に感じた痛みが、記憶の中で強調されている場合もあります。

骨折や関節痛を経験したことがある人が、実際には痛みがなくても「また痛くなるかもしれない」という不安から「痛い」と言ってしまうことがあります。

また、認知機能の低下により「今の痛み」と「過去の痛み」を区別できなくなることもあります。

理由③：生活の不安やストレス

「痛い」という言葉の裏に、不安やストレスが隠れていることもあります。

たとえば、「この先どうなるのか分からない」「家族に迷惑をかけているのでは」といった漠然とした不安が、痛みとして表れることがあります。

とくに、環境の変化（引っ越し、入院、介護サービスの利用など）があると、不安が強くなりがち。

安心できる環境を整えたり、不安を和らげる会話を増やしたりすることで、「痛い」という訴えが減ることもあります。

「痛い痛い」の訴えにうるさいと感じたときの正しい対応3選

毎日のように「痛い」と繰り返されると、介護する側も疲れてしまいますよね。

最初は心配して対応していたとしても、次第に「またか…」とストレスを感じてしまうこともあるでしょう。

しかし、正しい対応をすることで、介護者の負担を減らしつつ、本人の不安も和らげることができます。

正しい対応3つを見ていきましょう。

• 共感しつつ落ち着いて対応する
• 話をそらして気分転換を促す
• 医師に相談し適切な対応をする

対応①：共感しつつ落ち着いて対応する

まず大切なのは、頭ごなしに否定しないことです。

「本当に痛いの？」と問い詰めたり、「大げさに言ってるんじゃないの？」と疑ったりすると、高齢者はさらに不安になり、もっと訴えが激しくなることがあります。

そうではなく、「痛いんだね、大変だね」と共感しつつ、「どんな痛み？」「いつから？」と落ち着いて話を聞くことが大切です。

対応②：話をそらして気分転換を促す

「痛い」という言葉が習慣になっている場合、気をそらすのも効果的です。

「そういえば、テレビで〇〇の話してたよ」「最近、お天気がいいね」など、別の話題に切り替えてみましょう。散歩や軽い運動を提案するのも良い方法です。

対応③：医師に相談し適切な対応をする

痛みが続く場合、医師に相談することも必要です。

本当に痛みがある場合、適切な治療を受けることで改善する可能性があります。

また、精神的な要因が関係している場合、専門家のアドバイスを受けることで、介護者の負担も軽減されます。

「いつものことだから」と流さず、一度医師に相談してみることで、意外な解決策が見つかるかもしれません。

介護者がストレスを減らすための3つのコツ

毎日の介護で、精神的にも肉体的にも疲れていませんか？

「痛い痛い」と繰り返されると、心の余裕もなくなりがちですが、介護を続けるには、介護する側の心と体の健康も大切です。

そこで、少しでもストレスを減らすためのコツを3つ紹介します。

• ひとりで抱え込まない工夫
• 介護以外の時間を確保する
• 専門家や支援サービスを活用する

コツ①：ひとりで抱え込まない工夫

介護のストレスは、「自分がやらなきゃ」と抱え込んでしまうことが原因になりがちです。

家族や兄弟姉妹がいる場合は、「自分だけが頑張る必要はない」と考え、協力をお願いしましょう。

たとえば、「週末はお兄さんにお願いする」「買い物は子どもに頼む」といった形で、できる範囲で負担を分散するのがポイントです。

また、介護の悩みを友人や同じ立場の人と共有するだけでも気持ちが軽くなります。

コツ②：介護以外の時間を確保する

介護ばかりの生活になってしまうと、自分の時間がなくなり、心の余裕がなくなってしまいます。

1日のうち少しでもいいので、介護以外のことに集中できる時間を作りましょう。

本を読んだり、散歩をしたり、趣味の時間を持つことが大切です。

コツ③：専門家や支援サービスを活用する

介護をすべて一人で背負う必要はありません。自治体や介護施設など、利用できるサービスを積極的に活用しましょう。

たとえば、以下のような支援があります。

• 訪問介護（ヘルパーによるサポート）
• デイサービス（昼間の預かりサービス）
• ショートステイ（一時的な宿泊介護）
• 介護相談窓口（専門家のアドバイスが受けられる）
• 介護保険外の自治体や自費サービス

介護保険サービスが利用できれば、「1～3割の料金負担と食事代等の自費」となって、比較的安価です。

地域包括支援センターやケアマネージャーに相談すれば、適切なサービスを紹介してもらえますよ。

要介護認定がおりていない場合は、自治体の福祉サービスや自費のサービスをうまく活用しましょう。

親のことも心配だけど、自分の人生も大切にして、うまくバランスを取っていきたいという方に向けて、こちらの記事で詳しく解説しているのでご覧ください。

介護保険外での自費ヘルパーや家事代行について詳しく知りたい方に向けて、こちらの記事で詳しく解説しているので、ご覧ください。

高齢の親との関係を良好に保つためのポイント3つ

介護が続くと、親子の関係がギスギスしてしまうことも。「痛い」と繰り返されると、ついイライラしてしまうこともあるでしょう。

しかし、親との関係が悪化すると、介護のストレスもさらに増してしまいます。

お互いに負担を減らし、良い関係を続けるために大切なポイントを3つ紹介します。

• こまめに会話し安心感を与える
• 適度な距離感を保つ
• 相手を尊重しつつ自分を大切にする

ポイント①：こまめに会話し安心感を与える

高齢になると、ちょっとしたことで不安を感じやすくなります。その不安が「痛い」という言葉になって表れることもあるのです。

普段からこまめに話しかけ、安心感を与えることで、「痛い」と訴える頻度が減ることもあります。

「最近どう？」と世間話をするだけでも効果的でしょう。

また、何かお願いするときは「ありがとう」「助かるよ」と感謝の言葉を忘れずに。

ポイント②：適度な距離感を保つ

介護する側もされる側も、適度な距離があったほうが気持ちが楽になります。

「ずっと一緒にいないと」と思い込むと、ストレスが溜まるばかりです。

たとえば、短時間でもデイサービスを利用したり、親が趣味の時間を持てるよう工夫したりすると、お互いに良い距離感を保つことができます。

ポイント③：相手を尊重しつつ自分を大切にする

親が高齢になっても、人生の先輩であることに変わりはありません。

介護する側が「自分が正しい」と思い込みすぎると、意見がぶつかることもあります。

親の意見も尊重しつつ、無理のない範囲でサポートするのが理想的です。

「こうした方がいい」と押しつけるのではなく、「どう思う？」と相談しながら進めると、親も納得しやすくなります。

また、自分自身の気持ちを大切にすることも忘れずに。介護の負担が大きすぎると感じたら、周囲に助けを求めることも必要です。

親のことも心配だけど、自分の人生も大切にして、うまくバランスを取っていきたいという方に向けて、こちらの記事で詳しく解説しているのでご覧ください。

【FAQ】よくある質問とその回答

ここでは、高齢者や親が身体のあちこちの痛みを訴えて、ついイライラしたりうるさいと感じてしまう場合の、よくある質問とその回答を掲載していきます。

高齢の母親が毎日「痛い」と言うのですが、どう対応すればよいですか？

親が頻繁に「痛い」と訴えると、どう対応するのが正解なのか悩みますよね。まずは冷静に話を聞き、どこがどのように痛むのか確認しましょう。必要であれば医師の診察を受けることも大切です。ただし、心理的な要因も考えられるため、気分転換や会話を増やすことで症状が和らぐこともあります。

痛みがないのに「痛い」と言うのは病気の可能性がありますか？

実際に痛みがないのに「痛い」と訴える場合、認知症や精神的なストレスが関係していることがあります。特に過去の痛みの記憶が影響したり、不安感から痛みを感じることもあります。気になる場合は医師や専門家に相談し、適切なケアを検討しましょう。

「痛い痛い」と繰り返されると、うるさいと感じて、どうしてもイライラしてしまいます。どうすればいいですか？

介護をしていると、同じことを何度も繰り返されてストレスを感じることはよくあります。まずは深呼吸し、親の気持ちに寄り添うことを意識しましょう。共感しつつ話を聞くことで、親自身の不安が和らぎ、訴えが減ることもあります。また、ひとりで抱え込まず、周囲のサポートを活用することも大切です。

「痛い」と言うたびに病院に連れて行くべきでしょうか？

頻繁に病院へ行くのは負担になりますよね。まずは、痛みの程度や持続時間を観察しましょう。明らかに異常がある場合や、痛みの種類が変わったときは、受診が必要かもしれません。一方で、心理的な要因が関係している場合もあるため、日常の様子を見ながら対応を考えるのが良いでしょう。

母親の「痛い」に付き合うのがつらいのですが、どうしたらいいですか？

介護の負担が大きいと、心が疲れてしまいますよね。まずは、自分自身のケアも大切にしましょう。家族に協力を求めたり、デイサービスなどの介護支援を利用するのも一つの方法です。ひとりで抱え込まず、適度に息抜きをしながら介護を続けることが重要です。

介護のストレスで親に冷たく接してしまうことがあり、罪悪感があります。どうすればいいですか？

長く介護をしていると、気持ちに余裕がなくなることもありますよね。時には冷たく接してしまっても、自分を責めすぎる必要はありません。大切なのは、ストレスを溜め込まないことです。信頼できる人に話を聞いてもらったり、少しでも自分の時間を確保するように心がけましょう。

まとめ：老人や親が「あちこち痛い」とうるさい！原因と正しい対策教えます

今回は、高齢の親が「あちこち痛い」と頻繁に訴える原因や対策について紹介しました！

この記事の大事なポイントをまとめます。

高齢者や親が「痛い」と繰り返す理由には、体の変化や不安、認知症の可能性などがあります。

共感しながら対応することや、気分転換を促すことも効果的です。

また、介護者自身のストレスを減らすために、一人で抱え込まない工夫や支援サービスをうまく活用していきましょう。

親のことも心配だけど、自分の人生も大切にして、うまくバランスを取っていきたいという方に向けて、こちらの記事で詳しく解説しているのでご覧ください。